カードコラム「浅すぎた墓穴」

 

お互いの墓地からモンスターを裏守備で蘇生する、やや特殊な蘇生魔法「浅すぎた墓穴」

基本的な使い方から、新時代のスタンダードでの活用法まで、深く検証してみよう。

 

1・基本的な使い方。

 

まずは、基本的な使い方である。もし初心者の方がおられたら、これを読んで使い方を覚えて欲しい。

上級者の方はおさらい程度にどうぞ。

 

浅すぎた墓穴の最大の特徴は、

「裏守備で蘇生すること」

「相手も蘇生できること」

「制限がまったくかかっていないこと」

 

の3点である。

ちなみに、「相手も蘇生できること」が、この魔法のコストにあたる(細かく言うとコストではないが、理由は後述)。それ以外は何のコストもない。

だが、相手も蘇生できるというコストはかなりつらいコストである。それは後々説明しよう。

 

最大の特徴である「裏守備蘇生」は、他の蘇生カードには見当たらない効果である。

これを生かすには、裏守備でこそ効果を発揮するモンスターを蘇生させるのが得策といえるだろう。

すなわち、「リバースモンスター」である。

 

リバースモンスターは、一度効果を使って墓地へ行ってしまえば、それきり使い捨てというイメージが定着している。

死者蘇生、早すぎた埋葬などの定番蘇生魔法での復活は、基本的に表表示でしか蘇生できないからだ。

しかし、浅すぎた墓穴を使えば、リバースモンスターを裏守備で出すことが出来、再び効果を使うことができる。

リバースモンスター受難の時代において、これは頼もしい限りといえるだろう。

 

そして三番目の特徴、制限がかかっていないこと、である。

これにより、墓穴は三枚の投入が可能となっている(6/10現在)。

それはすなわち、リバースモンスターを多用するデッキにおいての墓穴の活躍を示唆しているということなのだ。

 

ここまでを総括すると…

 

リバースモンスターを多用するデッキにフル投入して、積極的にリバースモンスターの再利用を狙っていくべきカード、それが浅すぎた墓穴ということになる。

 

そして、リバースモンスターを多用するデッキといえばデッキ破壊デッキであることは既に周知の事実であろう。

詳しくは、デッキ紹介デッキに載せてあるデッキ破壊デッキを参考にしてもらいたい。

 

2・スタンダードで使えるか?

 

さて、基本を抑えたところで応用編(そんな大げさなものでもないが)である。

ずばり、埋葬に制限がかかった蘇生系スタンダード受難の時代にあって、墓穴は蘇生系デッキの救世主になれるのか、ということである。

 

別に蘇生系デッキでなくても、蘇生魔法というのは普通にスタンダードで重要な位置を担っている。

もし墓穴がスタンダードに入りうるなら、埋葬制限の今、かなり貴重な蘇生源になるのではないだろうか。

 

さて、ここで問題になるのは、墓穴のコストである。

「相手もモンスターを墓地から蘇生できる」

このコストは実はかなり痛い。

なぜなら、まず自分が蘇生するモンスターを選ぶため、相手はそれを見てから状況に応じたモンスターを出せること。

そして、通常魔法である浅すぎた墓穴は、相手ターンで使うことが出来ないため、先に蘇生されたモンスターを活用できるのが相手である、ということがその理由である。

つまり、蘇生させたのは自分であるにも関わらず、そのターン表示形式を変更できないため(例外あり)、先手を相手に取られてしまうのである。

これが、浅すぎた墓穴がスタンダードで使われない理由である。

 

では、本当に浅すぎた墓穴はスタンダードで役に立たないのだろうか。

 

答えは否。どんなカードにも、可能性は残っているのである。

コストがキツイのなら、それを補えばいい。

 

穴のコストである「相手も蘇生できる」

これは、事実上、相手の墓地にモンスターがいることが絶対条件である。

ちなみに、生者の書などとは違い、相手がモンスターを蘇生させることは、コストのようではあるが、コストではない。

 

どういうことだ、と思われるかもしれないが、実際、墓穴の「相手も蘇生できること」は、完全なコストとはいえないのである。

つまり、「相手の墓地にモンスターがいなくても発動可能」という部分が、コストの概念とは違っているのである。

コストとは、「発動する上で必ず必要とする条件」であるからだ。

 

つまり、墓穴を発動する際に、相手の墓地にモンスターがいない状況なら、自分だけがモンスターを特殊召喚できるのである。

 

ちなみに「裏守備になる」という特徴は、行動は遅れるもののそれほどのマイナスではない。ノ−コストで自分だけ蘇生できるのだから、それぐらいはガマンしなければならない。1でも述べたが、逆に、リバースモンスターなどを蘇生させるなどして、この特徴を徹底的に利用してやろう。

 

 

さて、相手の墓地にモンスターがなければ…と書いたが、そのためには相手の墓地からモンスターを除外する必要がある。

すなわち、異次元の戦士、レッサー・デーモン、霊滅術師カイクウ、抹殺の使徒、魂の解放などが墓穴と相性のいいカードとして挙げられるのである。

 

このうち、スタンダードで普通に働いてくれそうなカードは、

異次元の戦士、レッサー・デーモン、霊滅術師カイクウ、抹殺の使徒である。

僕はよくコンボカードの使い方について述べるのだが、「特定のカードと合わせてしか使えないカード」は、なるべくデッキに入れるべきではない、と考えている。

デュエルでは様々な状況が考えられるため、「このカードと合わせることでしか使えない」というカードは外したほうが賢明なのだ。

制限カードが強いとされているのは、他のカードと組み合わせなくても、単体でどんな状況でも使えるカードが多いからなのである。

 

どうだろうか、こう考えると、墓穴もそれほどスタンダード系デッキと相性が悪いわけではないということがわかっていただけるのではないだろうか。

 

異次元の戦士とレッサー・デーモン、霊滅術師カイクウなどで積極的に相手の墓地を除外し、墓穴で自分だけモンスターを蘇生させる。時にはウィッチを戻し、生け贄に上級を出すなど、埋葬などでよく見られる基本コンボを、墓穴で代用することもできるのだ。それもこれも、相手に蘇生させるモンスターがいない、という状況ならではである。

 

そして、これにファイバーポッドを絡めるのも面白い。

徹底的に除外しておいて、ファイバーポッドでリセットする。

相手の主力モンスターを消し去っていれば、既に勝利は近いはずである。ピンチの時には単体で使えるファイバーポッドだからこそ、単なるコンボカードとしてではなく万能に使えるのである。

 

3・まとめ

 

さて、ここまで墓穴を少しだけ深く検証してみたが、いかがだっただろうか。

今までスタンダードには入らないと思っていたカードでも、考えようによってはそれなりに使い方も浮かぶのである。

 

蘇生魔法が制限されたからこそ、今まで陰に隠れていたカードが陽の目を見る。

新時代におけるデッキとは、かつてのカードを蘇らせる可能性をも秘めているのかもしれない。

 

戻る