カードコラム「停戦協定」

 

 

停戦協定:通常罠

「裏守備表示のモンスターをすべて表にする。この時、リバース効果モンスターの効果は発動しない。フィールド上の効果モンスター数だけ500ポイントのダメージを相手に与える。

 

新シリーズで「生命力吸収魔術」という、停戦協定の回復版のような罠が登場したが、それでもこの停戦協定の価値が落ちたわけではない。

ここでは、最近日の目を見ることのなくなった古き制限カードについて検証してみたいと思う。

 

 

1・見かけなくなったわけ。

 

なぜ停戦協定が最近使われなくなったのだろうか。

それはずばり、最近の流行が「LP差重視」から「手札差重視」へと移行したことに原因がある。

簡単に言えば、停戦協定を1枚使ってダメージを与えるよりも、モンスターで攻撃するなり、ハンデス魔法を使うなりして自分の手札をキープするほうが戦略上有利、とされるようになったからだ。

確かに停戦協定は強力だが、わざわざ自分の手札を1枚減らしてまで使うことはない―――――――というのが最近の流行から生み出された価値観なのである。

 

2・停戦協定の真価

 

3枚入れると強すぎるが、1枚ではちょっと………というカードの最たる例が、この停戦協定であろう。

それでも制限カードのため、ちらほら見かけるには見かけるが、最近では投入される罠の数が限定されてきたこともあり、めっきり見かけなくなってしまったのである。いったい停戦協定の何が投入に値しないというのだろう。

 

停戦協定の効果は、主に二つの部分から成り立っている。

「裏守備を表にする効果」と、「効果モンスター×500のダメージを相手に与える」という部分である。

このうち、効果モンスター×500ダメージのほうは、実はまったく期待できない効果なのだ。

なぜなら、フィールド上にモンスターが並ぶ数はせいぜい3〜4体がいいところ。これではダメージを与えられても2000程度である。

実際、停戦協定を使った時のダメージは1000〜1500程度が平均であろうから、2000でも御の字ということになるだろう。

これなら、除去魔法を使ってモンスターで攻撃したほうが除去できる分遥かに効率がいい、といえるのである。

しかも、どれだけ相手の場にモンスターが展開するかは、相手次第ともいえるため、そうした不安定なカードは現在のデッキ、特にスタンダード系列のデッキには入れにくいのである。

 

そこで断言しよう。

停戦協定の真価は、裏守備モンスターを表にするところにある、と。

理由は簡単である。自分、相手問わず、全てのモンスターを白日の下にさらすカードというのは、実はそれほど多くないのである。

新シリーズで登場した「生命力吸収魔術」を除けば、この停戦協定以外には見当たらない。つまり、そこにこそ停戦協定のアイデンティティがあるといっても過言ではないのだ。

以前どこかで述べた通り、「裏守備は怖い」という意識が、デュエリストの中には頑として存在する。

裏を殴ってみたらモモンガだった―――――は、まだいいとして、サイポだったりファイポだったりすれば、計算が一気に狂ってしまうことも少なくない。

裏守備はその正体がわからない故に警戒心を煽り、経験を積んだ狡猾なデュエリストなら様々な憶測をしてしまうため、余計に攻撃の手を封じられてしまう可能性もあるのである。

特に最近、裏守備で出される凶悪な効果モンスターが増えた。墓守の偵察者を始め、魂を削る死霊、ピラミッドタートルなどは殴られることを待ち望んで裏で出されることが多いモンスターであろう。

昔のように裏なら遺言系かリバモン、などと悠長なことは言っていられない時代になってきたということなのだ。裏守備モンスターは手札を1枚消費してでも正体を暴く価値がある―――――――そうは思わないだろうか。

そこで考えられるのが、停戦協定である。

相手の裏守備の正体を暴き、リバモンの効果を封じる(これが大きい)、この二つの効果を持つのは停戦協定と生命力吸収魔術だけなのだ。

光の護封剣ではこうはいかない。

そして、自らを回復する生命力吸収魔術よりも、相手にダメージを与えてプレッシャーを与えることができる停戦協定のほうがわずかに勝る、というのが僕の持論である。

 

3・活躍するデッキを探す。

 

と、ここまで停戦協定の利点について述べてきたが、手札を大事にする最近のデュエルシーンでは、確かに投入しにくいことも事実である。

一つにはリバモンの使用率が落ちてきたこともあり、護封剣でも代用できる、ということがあるだろう。代用が利くなら効果の大きい護封剣のほうがいい。

そこで、停戦協定の活躍が見込めるデッキを探してみることにしよう。

 

まず考えねばならないのは、停戦協定が制限カードであるということだ。

制限=引きたい時に引けるわけではない、ということなので、この効果をメインに据えたデッキを作るのは無謀である。停戦協定は、あくまでサポート程度に考えねばならない。

ということはつまり、手札使いが荒くてもそれを補助できるデッキに合うということになる。

 

そうなると、ポッドを利用した手札大量補充のデッキか、蜃気楼を利用したデッキ、ということになるだろうか。

手札を消費しても補充さえできれば関係ない、という観点から考えれば、これらのデッキは停戦協定を入れるにはぴったりのデッキといえそうである。

戦士デッキなどの攻撃力の高いデッキに、フィニッシャーの一つとして忍ばせておくのも面白い。

 

もう一つは、使徒を喰らいたくないデッキに投入する、というものである。

実はこれが言いたかっただけなのだが、デュエリストにとって非常に怖い存在である裏守備を葬り去る最良の手段としての抹殺の使徒は、もはや誰でもがデッキに1枚は入れているという準必須カード。それを停戦協定で跳ね返すことができれば、手札アドバンテージの上でも1:1の取引となり、決して損はしないのだ。

 

しかし、停戦協定は自らのリバース効果も無効化してしまう。

そうなると、リバモンではないが裏守備で出すことが多いモンスターが投入されたデッキにこそ停戦協定は入れるべき、と言えるのではないだろうか。ちなみに裏守備で出したい代表は遺言系モンスターだろうか(特にモモンガ等)。

 

そこは、自らのプレイングとも照らし合わせる必要がある、ともいえる。

使徒を警戒して常にモンスターを表で出す人と、喰らったら喰らった時、と裏守備で遺言系などを出すことが多い人は、はっきりタイプ別に分けられるからだ。

自分がどちらのタイプかを判断し、後者なら停戦協定を入れておくことをオススメする。喰らったら喰らった時さ、では本当に喰らったとき泣くことになるからだ。

 

4・結論

 

結論としては、停戦協定は自らの裏守備モンスターを使徒から守る、プチ勅命として使え!ということである(ダラダラ述べた結果がそれか)。

 

 

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