カードコラム「大嵐」「ハリケーン」
大嵐とハリケーン、何かと比較されるこの2枚であるが、それぞれ役目はまったく違う。
似ているようでまったく違うこれらのカードを比較検証してみたい。
1・大嵐の特徴
大嵐は、フィールド上のカードすべてを破壊する。
それは、自分の場のカードであろうと例外ではない。大型除去魔法としてはハーピィの羽根帚というカードがあるが、大嵐は自分の場に何もない時に使えば羽根帚と同じ効果をもたらす優秀な除去魔法である。
準制限であるため、2枚投入しておけば相手の伏せはたいてい除去でき、安全に攻撃が可能である。
チェーン不可罠には、ミラーフォース、魔法の筒、激流葬、精霊の鏡等、1枚でデュエルの流れを変える強力なカードが多いため、これらの除去として大嵐は高性能であるといえる。
2・ハリケーンの特徴
ハリケーンは、場にあるすべてのカードを持ち主の手札に戻すカードである。
大嵐と違って除去できるわけではない上、当然ながら次のターンにはまた元通りである。
しかし、一瞬でも場からカードが離れるその瞬間を狙ってコンボを決める。これがハリケーンの真の力である。
以上のことをまとめると、強力な除去魔法である大嵐、コンボ用カードであるハリケーン、というようにそれぞれの役割は違っていることがわかる。
3・実戦での使い方
大嵐は、主にスタンダードを始めとする、除去→攻撃という戦略のデッキで使用される。
ミラーフォース、護封剣、グラビティバインド等、相手の戦略のキーカードを有無を言わさず除去し、攻撃に転じるきっかけを作るカードである。
実戦では、攻撃のチャンスにどんどん使って除去するべきであろう。
場に何もない状態で、大量にダメージを与えることができれば、大嵐の役目はしっかり果たせているといえる。
逆にハリケーンは、デッキ破壊や、蘇生速攻等、特殊なコンセプト下のデッキでその力を発揮する。
自分の永続系魔法や罠との相性がいいため、バインドや護封剣を入れたデッキで活躍するだろう。
実戦では、1ターンのみの除去となるため、その1ターンでハリケーンをまじえたコンボを炸裂させることが大事である。言うなれば、理想は1ターンで勝負をつけられるような状態にしたいところである。
4・スタンダードに入れるなら
スタンダードに大嵐を入れるか、ハリケーンを入れるかは、多くのデュエリストが悩んできたところである。
もちろん好みもあるから、ここから先は僕の私的意見として聞き流してもらって構わない。
結論から言おう。
スタンダード(またはハンデス)なら大嵐である。
なぜなら、一斉除去→攻撃というのが、スタンダードにおける基本戦法であるからだ。
ハリケーンでは、大嵐と比べて除去できないという点で明らかに劣り、大嵐で自分の永続系魔法、罠が壊れてしまう確率も低い。スタンダードは使い捨て魔法が多く、永続系魔法はほとんど入らないのが常であるからだ。
中には、早すぎた埋葬や護封剣が入っているから、大嵐2→大嵐1、ハリケーン1という構成にしてはどうか、という人がいる。しかし、これはスタンダードをあまり知らない人の意見ではないかと思う。
ハリケーンはコンボ用カードであるがゆえに、他のカードと組み合わせてこそ力を発揮する。
確かに護封剣の再利用や埋葬の再利用は強力である。
蘇生速攻デッキなら埋葬の再利用は不可欠であるから、ハリケーンも必要かもしれない。
しかし、である。
埋葬2、護封剣2、程度が入ったスタンダードには、ハリケーン1枚程度、入れてもあまり活躍の余地がないのである。
これは、数をこなせばわかる。1回やって、たまたまデッキが回ったためにハリケーンをかなり使えると勘違いする場合もあるが、実は埋葬2、護封剣2をハリケーン1枚でリサイクルできる確率はそれほど高くない。
本気で再利用を狙うなら、ハリケーンは絶対に2枚以上入れるべきである。
逆に、大嵐は1枚でもそれほど問題はない。なぜなら、大嵐は単体でそれなりの威力を発揮するカードであるからだ。
デュエルをしていれば、様々な手札の状況に遭遇する。
埋葬、護封剣、ハリケーンが一度に手札にくることもあれば、ハリケーンだけが手札にあるということもよくあることである。
ハリケーンは、それだけが手札にあってもそれほど意味をなさないカードなのである。
ということで、ハリケーンを入れるなら2〜3枚投入し、護封剣、埋葬だけではなく、グラビティバインドや魔力の枷、魔封じの芳香など、自分のデッキのキーカードが壊してはならない永続系である場合に使うことが望ましい。
デッキ破壊デッキであれば、ハリケーン→手札抹殺が非常に強力なコンボである。
これが大嵐だとこうはいかない。
つまり、手札に戻すという効果がコンボの重要な位置を担っているデッキにこそ、ハリケーンは入れるべきなのである。
5回やって1回できればいい、というコンボのために、安易にハリケーンを入れるべきではない。
デッキ(特にスタンダード)に必要なカードというものは、そのカードが必要である場面ができるだけ多い、というカードなのである。
さて、もう一度自分のデッキを見直してほしい。
あなたのデッキに、「そういえばあまり使っていないコンボ」は存在しないだろうか。
コンボを狙うなら、キーカードとして2〜3枚必要であり、そうでない場合は、「どんな状況でも単体で使えるカード」を入れたほうが無難なのである。