コナミが目指すもの。

 

今回のコラムは、趣向をちょっと変更して、OCGの発売元コナミについて考えたいと思う。

 

当然のことながら、コナミにはネットユーザーからの批判が絶えない。

 

理由としては、「ルールがしっかりしていない」「1キルを野放しにしている」等が挙げられるかと思うが、特に後者が大きいのではないだろうか。

 

だが、考えてもみてほしい。

大会等で1キルデッキがどれだけ優勝しているだろうか。

ハンデスに先攻をとられると、1キルといえどもかなり苦しいのは必至。1キルでもっとも安定して使えるエクゾでさえ、1キル率は4割行けばいいほうである。

最近は検閲1キルなんてものが出てきて、これはルールの改正を待つしかないぐらいの極悪さだが、まあとにかく、1キルといえども、大会で優勝できるほどの安定した強さはないのである。

3回続けて行うマッチ戦では、1キルではどこかでつぶされてしまう。勝率9割という人がいるが、本当に9割なら全員が使う。

やはり、実際の大会では、確実な勝ちを狙うために、引きが悪くても少しでも抵抗できるデッキにすることが多いのである(すなわちスタンダードやハンデス)。

 

ではなぜ、ネットユーザーに1キルがこれほどまでに嫌われるのか。

その理由は、おそらくネットでのデュエル(一般的にはCGI)が、基本的にマッチ戦ではなく1回だけのデュエルであることが多いからだ。

しかも、ネットデュエルはたいてい1回でそれなりの時間を食う。

そんな中で、一人遊びのように延々とカードを回されては、見ているほうも面白くない。

例え勝っても負けてもつまらない。それが、ネットユーザーの間での1キルの見方であろう。

 

しかし、コナミはネットユーザーよりも、むしろ実際のOCGにおけるユーザーを重視している傾向がある。

生デュエルでは、1回のデュエルにはそれほど時間はかからない。

よって、ゲームとしての面白さを、じっくり考える戦略的ゲームとしてではなく、サクサクッと楽しめる運の要素が強いゲームとして考えているといえるのではないだろうか。

 

ルールがいつまでのグズグズ決まらないのはいただけないが、好意的に考えれば、電話でのサポートを置いているところからすると、ある程度自覚があるのかもしれない。

 

 

さて、OCGを麻雀に例えた人がいたが、僕もその通りだと思う。

麻雀は非常に運の要素が強いゲームである。しかし、基本ができていない人と上級者では、運の要素があろうがなかろうが、上級者が勝つ。

しかし、上級者同士なら、これはもう運としかいえない。

 

OCGも、まさにそんな感じではないだろうか(OCGはデッキ構築の際に差がつくが)。

これに比べると、MTGなどは将棋的センスを備えた(僕はMTGはやらないので正確なところはわからないが)カードゲームといえるのではないか。

よく、OCGとMTGは比較の対象にされるが、OCG自体がMTGを元にしてできたゲームであるからそれは仕方ない。

そしてOCGは、MTGに比べて大味であり、1回のデュエルが短く、コストの概念があまりないために、いきなりひっくり返されたりすることが多々あるということでも知られている。

OCGに比べれば、最初の手札を入れ替えることができるMTGは、より運の要素をカットし、デッキ構築とデュエリスト自身の腕前に勝敗を委ねているといえそうである。

 

これが、MTGがOCGに比べて戦略的ゲームと呼ばれる所以であり、OCGが運次第で勝てるゲームと批判される所以の一つではないかと僕は思う。

 

しかし、である。ならばなぜ麻雀はこれほどまでに流行しているのだろうか。

OCGと同じように、批判の対象にはならないのだろうか。

もちろん、麻雀はOCGと違ってルールはしっかりしている。しかし、運が非常にからんでくるといった点では、麻雀はOCGと似ているのであり、同じ楽しさを持っているのではないか。

徹マンと呼ばれる徹夜麻雀が普通に行われているように、OCGにも中毒性がある。だからこそここまで流行ったのである。

 

この中毒性は、麻雀とOCGに共通する項目―――――

 

○ 苦しい場面からでも一発逆転が可能である。

○ 運の要素が強いとはいえ、初心者が強い人に勝つのは難しい。

○ しかし↑も、絶対ではない。初心者が勝てることもある。

 

という、3つの項目からきているのではないかと思う。

 

そしてこれはすなわち、コナミが目指すOCGの姿ではないかと思うのだ。

 

つまり、コナミは、OCGをより「麻雀的カードゲーム」として位置付けようとしているのではないだろうか。

 

それは、1/1の制限改訂で、1キルデッキが野放しにされたことを見てもわかる。

「最初の引き次第で1キルさえ可能なゲーム」―――すなわち、「運が大きく影響するゲーム」

である。

 

もしも、サンボルに高いコストをつければ、確かに容易にサンボルを撃てなくなり、有利な立場に立って相手を最後まで押し切るということが、ほぼ確実になるだろう。

 

しかし、この「コストがないからこそ、ドロー次第で大逆転が可能である」という部分が、OCGの醍醐味の一つなのではないかと思うのである(そういった意味ではやはりヤタガラスは失敗カードといえそうだが…)。

 

今回の新シリーズ「王家の守護者」で登場した「ダイス・ポット」や「無謀な欲張り」は、さらに大逆転&1キルを助長するカードである。

 

確かにこうしたカードは危険ではあるが、「蘇りし魂」の時にお注射天使リリーや、八汰烏を出したように、今までの既成スタンダードの形を壊そうと、コナミも頑張っているのかもしれない。

 

しかし、その頑張りが、1キルデッキの勝率を100%にしてはならない。これは間違いない。それはカードゲームとして成立しなくなるからだ。

 

しかし、「スタンダードに入れたいけど微妙だよなー」程度のカードは、どんどん出してほしいのである。

 

その観点から、キラスネの制限解除は英断であったと僕は思う。

あれによってデッキの幅がぐっと広がったからだ。しかし、誰もがキラスネを3枚入れることはない。

「やっぱり1枚だよ」という人がほとんどであり、中には、「ジャマーを入れるから2枚にしよう」とか「手札抹殺と苦渋で回るから3枚いるよね」という人もいるだろう。

 

このように、我々プレイヤーをおおいに迷わせてくれるようなカードの登場&制限改訂を、今後のコナミには期待したいのである。

 

コナミを擁護するわけではないが、こうしたコナミの方向性を認めることができれば、多少なりともOCGへの不満はなくなるのではないだろうか。

 

無論、それが不満であるというなら、OCGを離れ、MTGへ行くもそれは自由なのだから―――。

 

 

 

ちなみに今回の「王家の守護者」で僕が「使いたいけどものすごく迷う」優秀なカードたちは以下の通りである。

数日たったら意見変わっていると思うけど(笑)。

 

太陽の書 月の書 財宝への隠し通路 王虎ワンフー 首領ザルーグ スカラベの大群 デス・ラクーダ

ダスト・シュート

 

結構多いな…今回のシリーズは合格!(笑)

 

 

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