デッキ間の相性について

 

現在、デッキと呼ばれるものの種類は、非常に多種多様になった。

一昔前はスタンダードばかりを見かけていたものだが、カードの種類の増加、各属性の発展、スピリットの登場、により、戦略の幅が大きく広がったためである。

僕自身が修行の日々の中で出会った、様々なデッキ…。

ここでは、そんなコンセプトデッキの種類をまとめ、それぞれの相性などを検証してみたい。

なお、紹介したデッキを構築するなら、デッキ紹介も合わせて見ていただきたい。

 

 

1・大まかな分類

 

大きく分けて、デッキには次の5つの種類がある。

スタンダードハンドデストロイデッキ破壊1キルその他の特殊デッキ

なぜこれらの5つに分けたかというと、それぞれ目的とするものが違うからである。

スタンダードはLPを削って勝つ。ハンデスは手札を破壊する。デッキ破壊はデッキを切らす。1キルならとにかく勝利条件を目指して1ターンでデッキを回す…と、それぞれがそれぞれに別の目的を持ってデュエルを進行する。

それではこれらをさらに細かく分類し、それぞれの特徴とともに見ていこう。


2・スタンダードから派生するもの

 

スタンダード

現在もっとも多くのデュエリストに愛用されているジャンルのデッキであるところから、「スタンダード」の名がつけられた。ポピュラーであり、扱いやすさはトップレベル。それでいて強さも申し分ない。ほとんどが強力な制限カードで埋め尽くされており、個性を出すにはそれなりの工夫が必要となる。

攻撃力 ★★★★  防御力 ★★★   扱いやすさ ★★★★★ 1キル率 ★★   

デッキ同士の相性

スタン 蘇生 ハンデス 死デッキ デッキ破壊 1キル ×
バインド ダイレクト 各属性デッキ BBG マジックボックス デビフラ

全てのデッキとほぼ対等に戦えるというのがスタンダードの強みである。意外と△などが多いのは、基本的に各デッキは、対スタンダードを考慮して作られたものだからである。実際には数値以上の強さを発揮することが多い。1キル率の低さから、防御力の高いデッキには意外とてこずる事も。


蘇生

スタンダードの基本構成を活かしつつ、上級モンスター、蘇生魔法を多めに取り入れた攻撃重視のデッキ。コンセプトを尖らせるほど攻撃力は上がり、埋葬のコストのせいで防御力は落ちていく。一時はかなりの隆盛を誇ったが、今ではそれほど見かけなくなってしまった。

攻撃力 ★★★★★ 防御力 ★★    扱いやすさ ★★★   1キル率 ★★★★ 

デッキ同士の相性

スタン 蘇生 ハンデス 死デッキ デッキ破壊 1キル
バインド ダイレクト 各属性デッキ BBG マジックボックス デビフラ

どんなデッキを相手にしてもほぼ対等以上に戦えるのは、スタンダードの要素を残しているからである。少々の防御力ならあっという間に除去できるパワーを持つが、スタンダードに比べてキーカードがやや多めなため、デッキ破壊に流されると攻撃力がスタン以下に落ちることも。


3・ハンドデストロイから派生するもの

 

ハンドデストロイ

1キルとともに、最強デッキの呼び声も高い手札破壊デッキ。八汰烏の登場で、その強さ、1キル率はさらに増した。実際には数値に現れていない、「相手を弱体化させる能力」が全デッキの中でMAX。手札破壊魔法・罠を入れるせいで、基本攻撃力などはスタンよりも落ちる。手札を補充されると弱いため、短期決戦を狙う必要がある。

攻撃力 ★★★   防御力 ★★    扱いやすさ ★★★★  1キル率 ★★★  

デッキ同士の相性

スタン 蘇生 ハンデス 死デッキ デッキ破壊 1キル
バインド ダイレクト 各属性デッキ BBG マジックボックス デビフラ

キーカードが多いデッキほど、手札破壊に弱い。だが圧倒的な守備力を誇るバインドや、アンチ手札破壊的なカードばかりが入ったデッキ破壊などには、意外なほどもろい一面を見せることもある。だが、やはり対策をしにくいということが、ハンデスの強さを確固たるものにしているといえるだろう。


死デッキハンデス

ハンドデストロイの亜流。死のデッキ破壊ウィルスを使ったハンデス。通常のハンデスに比べ、プレイングが高難度となる。うまくいけば相手の手札を把握しつつモンスターを除去できるので、何もさせずに勝つことも可能。八汰烏と組み合わせれば、あっけなくハメることも可能である。

攻撃力 ★★     防御力 ★★     扱いやすさ ★★     1キル率 ★★    

デッキ同士の相性

スタン 蘇生 ハンデス 死デッキ デッキ破壊 × 1キル ×
バインド ダイレクト 各属性デッキ BBG マジックボックス デビフラ

死デッキの対象が攻撃力1500以上というところがミソ。1400モンスターが多い属性デッキには意外と力を発揮できない。デッキ破壊には、死デッキが通じないばかりか、その回転力に返り討ちに遭う場合もある。どれだけスタンダードの要素を残して、短期決戦を挑むかがポイントになるだろう。


4・デッキ破壊から派生するもの

 

デッキ破壊

現在ほぼ形が完成しているデッキのひとつ。ただ、人によっては味付けとして様々なカードを投入するので、それなりに個人のスタイルが表れる。スローに思われがちだが、デッキによっては回転力がものすごく、数ターンでデッキを0にすることも可能。ハンデスにもっとも強い耐性を持ったデッキとしても注目である。

攻撃力 ★      防御力 ★★★★★ 扱いやすさ ★★★   1キル率 ★★★  

デッキ同士の相性

スタン 蘇生 ハンデス 死デッキ デッキ破壊 1キル ×
バインド ダイレクト × 各属性デッキ BBG マジックボックス デビフラ

1キルの可能性が高い一撃必殺のデッキには、押し切られることが多い。スタンダード程度の攻撃力ならそれなりにかわせるところが強いところだ。また、バインドのような”待ち”のデッキには、すさまじい強さを発揮することもある。マジックボックスに案外弱いのは、除去が多いデッキだからである。当然ながら、1キルデッキ全般にはなすすべなく倒される。ただし、ハンデスに強いという特徴もあり、そういった意味ではやはり特殊なデッキであることがわかるだろう。


5・1キルから派生するもの

 

1キルデッキ(宝札エクゾ・宝札カタパ・宝札BBG・マキュラ・逆転)

現在1キル可能とされるデッキは、上記の5つである。もっともポピュラーなものは宝札エクゾであるが、宝札自体いつ制限がかかってもおかしくないカードであるので、そうなると1キルはマキュラや逆転が主流になるかもしれない。どのような手を用いても、1キルはそれ専用のデッキであるため、ここでは「1キル全般」という形でまとめた。

攻撃力 ★     防御力 ★     扱いやすさ ★     1キル率 ★★★★★

なんとも極端なデータだが、これが1キルの正体である。1キル率とは、すなわちデッキスピードそのもの。宝札エクゾであれば1ターンに40枚すべてドローすることも可能である。少々運の要素がからむため、確実性はなく、そこが大会等で意外に使用されない(大会ではスタンダードとハンデスが多い)理由であるかもしれない。100%1キル可能なら全員が使うはずだし。現時点で、すべて形が決まっており、もう手を加える余地は残っていない。

デッキ同士の相性

スタン 蘇生 ハンデス 死デッキ デッキ破壊 1キル
バインド ダイレクト 各属性デッキ BBG マジックボックス デビフラ

見ての通り、凄まじいまでの相性の良さを誇る。デッキスピードが速すぎるため、ほとんどのデッキではついてこれないのだ。唯一、先攻をとったハンデスにはキーカードを落とされてボコボコにされる、というケースも目立つ。逆に1キルを相手にする場合、ほとんど対策の立てようもないが、例えばエクゾなら魂の解放といった具合に、アンチカードもないではない。もっとも重要なのは先攻をとること、である。勅命さえ伏せることができれば、1キルは完全に死ぬからだ。ということは、1キルを使う側としても先攻をとることは最重要課題であることになる。


6・特殊デッキから派生するもの

 

バインド

その名の通り、グラビティバインドを利用し、相手の4つ星モンスターの動きを止めて戦うデッキ。デッキスピードは決して速くはないが、相手の除去魔法を無駄打ちさせることができれば、スタンダード相手には予想以上の力を発揮する。基本は隼の騎士などに装備カードをつけて攻撃するため、キーカードさえそろえば1キルも夢ではない。お注射天使リリー、ドル・ドラなどの強力なモンスターの登場により、再び脚光を浴び始めた。

攻撃力 ★★★   防御力 ★★★★  扱いやすさ ★★★   1キル率 ★★★  

デッキ同士の相性

スタン 蘇生 ハンデス 死デッキ デッキ破壊 × 1キル ×
バインド ダイレクト 各属性デッキ BBG マジックボックス デビフラ

攻撃力の高いデッキほどバインドに引っかかるため、闘いやすくなる。BBGなどの待ちデッキにも、バインドをすり抜けるためそれなりの強さを発揮することが多い。逆に悲しいほどのデッキスピードの遅さから、デッキ破壊や1キルにはあっけなくやられることもしばしば。あくまでバインドデッキは、相手の攻撃を防ぐことを目的としたデッキであるため、攻撃を目的としないデッキ相手には相性が悪いのである。


ダイレクト

人造人間7号や因幡之白兎を利用し、装備カードをつけてLPに直接ダメージを与えるデッキ。バインドなどで身を守るのもポイントのひとつである。こちらはバインドから派生したといったほうがいいかもしれない。バインドと違い、1キル率こそ低いものの、確実にダメージを与えることが可能だ。相手の罠には十分注意したいところだが。

攻撃力 ★★    防御力 ★★★★  扱いやすさ ★★    1キル率 ★★   

デッキ同士の相性

スタン 蘇生 ハンデス 死デッキ デッキ破壊 1キル ×
バインド × ダイレクト 各属性デッキ BBG マジックボックス デビフラ

バインドと似た相性関係を持つが、バインドをすり抜け、なおかつダイレクトよりも高い攻撃力を持つバインドとは相性が悪い。バインドが苦手なデッキ破壊を得意とするのは、相手の場のモンスターを無視して攻撃可能であるためである。デッキ破壊は、基本的にダイレクトされることを計算に入れていないからだ。ただ、やはり扱いやすいとはいえない。手札がなくなればおしまいなので、できるだけ早期決着を目指したいところだ。


各属性デッキ

光・闇・水・炎・風・地というそれぞれの属性専用モンスターを採用し、独自のコンセプトの元作られたデッキ。最近になって属性中心のカードが出始めたため、注目を浴びている。その属性ならではの遺言系&フィールドソースを活かした多彩な戦略が魅力だ。すべてを検証してもいいのだが、今回はあえてまとめてみた。

攻撃力 ★★★   防御力 ★★★   扱いやすさ ★★★   1キル率 ★    

デッキ同士の相性

スタン 蘇生 ハンデス × 死デッキ デッキ破壊 1キル ×
バインド ダイレクト 各属性デッキ BBG マジックボックス デビフラ

相性関係から見ると、決して強いとはいえない。だが、それぞれの属性の持ち味を活かしたトリッキーなプレイングができれば、デッキの強さは2倍にも3倍にもなる。プレイングの質が強さを分けるデッキであるので、使いこなせば意外なほどの強さを見せる場合もある。ただ、1キル率は低いため、1キルデッキには瞬殺される場合が多い。対スタンを想定されて構築される場合が多いので、スタン相手にはそれなりに強さを発揮する。


ビッグバンガール(BBG)

ビッグバンガールと堕天使マリーを利用して、LPにダメージを与えていくデッキ。コンセプトとしてはかなり特殊な部類に入る。1キルにもビッグバン1キルがあるが、それとは基本的に別もの。堕天使マリーをいかに早く捨てるか。ビッグバンガールをいかに守るか、が勝利の鍵となる。

攻撃力 ★     防御力 ★★★★  扱いやすさ ★★    1キル率 ★    

デッキ同士の相性

スタン 蘇生 ハンデス 死デッキ デッキ破壊 1キル ×
バインド × ダイレクト 各属性デッキ BBG マジックボックス デビフラ

待ち型のデッキであるため、1キルにはかなり弱い。勅命がキーカードのひとつであるため、それを伏せることができれば1キルにも勝てるが。勅命をもっとも維持しやすいデッキとしても有名である。バインドでBBGを守ることが多く、そのためバインドやダイレクトには弱い一面もあるが、その守備力の高さから、スタンダード等には意外な強さを見せるだろう。


マジックボックス

現日本チャンプが使っていたデッキ。Team死去の委員長がこのデッキのエキスパートである。本来ならここに掲載するほどポピュラーでもないのかもしれないが、彼に敬意を表して、検証することにした。死のマジックボックス、強制転移などを利用して、アメーバを相手に送りつけることを最大の目的にしている。予想以上にプレイングが難しく、すぐに手札が切れるという弱点を持っている。トリッキーなコンボを使用するため、上級者に愛用されることが多い。

攻撃力 ★★★   防御力 ★★    扱いやすさ ★     1キル率 ★★   

デッキ同士の相性

スタン 蘇生 ハンデス × 死デッキ デッキ破壊 1キル ×
バインド ダイレクト 各属性デッキ BBG マジックボックス デビフラ

狙うコンボがトリッキーなため、1キルには非常に弱い。また、総合的な攻撃力もスタンダードや蘇生に比べるとどうしても見劣りする。それを補うのはトリッキーゆえのコンボ力と、それを扱うプレイヤー次第である。除去さえしっかりしておけば、バインドやダイレクトなどの待ちデッキにはかなりの強さを発揮する。


デビルフランケン

巨大化制限解除により、急激に強さを増したデッキ。デビフラで究極龍を呼び出し、巨大化をつけて瞬殺する。うまくいけば1キルも可能。一瞬の奇襲がポイントになるため、攻める時には攻めるという積極的な姿勢が必要となる。その気になれば宝札エクゾすらも2ターン目でつぶせるため、最強の奇襲デッキとして注目だ。純粋な攻撃力は、蘇生デッキさえ上回る。

攻撃力 ★★★★★ 防御力 ★★    扱いやすさ ★★    1キル率 ★★★★ 

デッキ同士の相性

スタン 蘇生 ハンデス 死デッキ デッキ破壊 1キル
バインド ダイレクト 各属性デッキ BBG マジックボックス デビフラ

相性をどうこういうより、完全に攻めるタイミングが勝負を分ける。だが、守備力の高いデッキ相手にはなかなかチャンスが回ってこないことも確か。勝負のポイントは少ないため、高難度のプレイングを要求される。いつまでも究極龍を場に出したままにして、奪われたり死デッキで落とされたりしたら目も当てられない。


 

 

いかがだっただろうか?

ここに挙げたデッキはほんの一握りであるし、個人の思い入れによってもデッキはガラッとその姿を変える。

例えば属性デッキにハンデスの要素を混ぜることも有効だろうし、デビフラにスタンの要素を強く持たせることもできる。

結局は各個人の考え方次第であるから、そこに他人の考えが介入する余地はない。

しかし、ここに挙げたデッキは、間違いなく僕が今までに出会ってきたデュエリストたちが使ってきたものである。

こんなデッキもあるんだ、と、素直に受け入れていただければ幸いである。

 

なお、数値、データなどは、管理人の勝手なデッキ理論に基づいています。

 

 

戻る