偵察ロード。私(テレポ)と遊介さんがほぼ同時期に独立 して開発したデッキである。偵察ロードの特徴を一言で言えば、墓守とアンデットデッキの融合となる。どちらのデッキも、スタンを相手にしても引けを取らない優秀なデッキである。スタン以外のデッキはすべてスタンを仮想敵と見なしてデッキ構築してある、といっても過言ではない。また、大会等ではまだまだスタンが幅をきかせていると聞く。スタンに対抗できるデッキの一つとして、偵察ロードデッキを見ていただければ幸いである。
特に意味はないが、偵察ロードの定義を策定してみた。これは、偵察ロードのもう一人の創始者である遊介さんの了解を取ってある。
ロードはあえて定義に含めなかった。2枚以上入れるという条件を付けてもよかったのだが、△亀(ピラミッド・タートル)が2枚以上入っていれば、ロードは1枚以上入れるのが普通だからである。
偵察ロードの骨格はスタンと大差ない。主力モンスター(攻1900モン)に代わり、上級にロードが加わる。トマトが△亀と偵察者に代わる。この程度の違いしかない。よって、手札をなるべく温存しながらスタンで戦える人なら、簡単に偵察ロードは扱うことができる。 (逆に言うと、攻撃が大好きな人には向かないデッキともいえる。)
具体的にモンスター構成を見ていこう。墓守といっても実際にメインデッキに投入するのは偵察者だけである。偵察者から展開が可能な長槍兵は、相手次第でサイドデッキからの投入となる。偵察者は守備の要であり、初手にどうしても欲しいモンスターなので、手札にだぶることを承知で3枚の投入をお勧めしたい。
偵察者はリバースすることでほかの墓守を特殊召喚できる。逆に言うと、特殊召喚ができなければ能力的に高いナーガの方がいいということになる。デッキに3枚の偵察者があれば、1回は偵察者を特殊召喚することが可能だろう。特殊召喚できれば守備力2000の壁が2枚。この高い高い壁を越えるのは、スタンには難しい。
次にもう一つの主役であるアンデット族モンスターを見てみよう。私がアンデットラインと呼んでいるロード、△亀、魂を削る死霊の3枚が偵察ロードで使われるカードである。枚数比率は2:2:1か2:2:2。どちらを選ぶかは、構築者が判断して欲しい (個人的には2:2:1をおすすめする)。
さらに、アンデット族専用の蘇生カード「生者の書−禁断の呪術−」を1枚。 埋葬ロード、リビングロードは装備カードを破壊すれば復活しないのであまり怖くないが、生者の書で完全蘇生したロードはやっかいだからである。アンデット族が5枚あれば、無駄になることは少ないだろう。 ただし、 強いからといって蘇生カードを多めに投入すると、初手事故の危険があるので注意して欲しい。
これ以外のカードはスタンに準じる。OCGは制限カードの集まりで構成されているといっても過言ではないからだ。どのカードも基本なので、カード名の列挙だけにとどめる。
ショッカー、ゴブ突、ウィッチ、クリッター2、サンボル、ブラホ、心変わり、強奪、帚、大嵐、サイク2、壺、施し2、蘇生、埋葬、番兵、押収、勅命、リビング、破壊輪、ミラフォ。
上で挙げたカード以外にもデッキにとって重要なカードがある。ここではそれらの解説を行う。
ロードの弱点は低攻撃力といってもよい。 相手に守備2000の壁を出されると、とたんに攻撃の手が止まってしまう。死霊でも同じことである。魔法カードを使ってこの状態を乗り切るのもよいが、モンスターの力だけで解決できるようにしておく方がいい。
異次元の方は相手のウィッチ、クリッターの除去に使える。また、ならず者はウィクリ以外の伏せモンスター全般に使用できる。相手の伏せモンスターを読み、リバース効果モンスターならならず者、ウィクリなら異次元という風に、ピンポイントで攻撃の邪魔になるモンスターを除去したい。ちなみに、押収まで基本カードに含めたのは、相手の伏せカードを予測できるようにするためである。
スタンと同じで偵察ロードには手札コストを必要とするカードは入れない。手札をなるべく温存する戦いをするからだ。施し使用時に手札に優しいキラスネは、ほかに使い道がないので特に入れる必要はないと思う。もちろん、必要だと思えば入れてもかまわない。
しかし、次で解説する強制転移を入れるのであれば、1枚投入しておいた方がいい。転移はこちらにモンスターが居ないと発動できないので、キラスネはとても便利に使える。偵察ロードは偵察者の関係でスケープ・ゴートをデッキに入れることができないので、転移を入れるのであればキラスネは必須といってもよいかもしれない。
リクルーターが入っているデッキでは定番といえるカード。使いどころを見極めれば制限カード以上の成果が期待できる。偵察ロードでは△亀と偵察者の攻撃力が1200で同じという点に着目する。特殊召喚された偵察者を攻撃表示にして転移で送る。そして△亀を召喚し、偵察者と相打ちにさせる。ロードか死霊でダイレクトアタック。このような流れるようなコンボが実現可能だからだ。
ハ・デス、レッサー、パーシアスなどの上級モンスターは裏守備モンをあまり気にしなくてもよい。効果無効、除外、貫通1ドローといった効果を持っているので、抹殺を使って除外する必要性はあまり感じられないからだ。しかし、ショッカーとロードは違う。裏守備は天敵ともいえるほどやっかいなのである。
ショッカーとロードは普通のモンスターと同じ感覚で裏守備モンに対応しなくてはならない。相手の裏守備がトマトかもしれないし、ウィクリかもしれない。そうなると普通に殴るのはあまり得策とはいえない。そこで裏守備モン対策が必要になってくるのである。
上で紹介した異次元、ならず者も裏守備対策であるが、裏守備対策の定番はやはり抹殺である。デッキのスペースの都合で2枚入れることが困難であるが、1枚は入れておきたいところである。
主力アタッカーを入れるとしたらニュートがよい。ロードにとって伏せカードはあまり重要ではないので、ブレイカーを入れる必要性はあまり感じられない。ニュートを選んだ理由は相手のゴブ突攻撃表示に対処するためである。ロードの攻撃力では相手のゴブ突には対処できない。しかし、ニュートがゴブ突に特攻すれば攻撃力を下げる効果でゴブ突の攻撃力が1800となり、ロードで破壊できるようになる。 このテクニックは偵察ロードの天敵ともいえるショッカーにも有効なので、非常に有用である。(情報提供:遊介さん )
現在私が使っているタイプのデッキをサンプルとして載せる。主力アタッカーを全部抜いてしまい、攻撃はロードにすべて任せたデッキである。抹殺を何とか2枚確保し、裏守備対策に重点を置いた。和睦は相手のゴブ突対策である。
モンスター 16枚ショッカー、ロード2、ゴブ突、偵察者3、△亀2、異次元の戦士、ならず者、ウィクリ3、キラスネ、死霊
魔法 19枚サンボル、ブラホ、抹殺2、転移、心、強奪、蘇生、生者の書、埋葬、帚、大嵐、サイク2、壺、施し2、番兵、押収
罠 5枚勅命、リビング、ミラフォ、破壊輪、和睦
デッキを載せただけでは、どのようにして扱ったらよいかわかりにくいこともあるので、簡単ではあるが戦い方を解説したいと思う。
偵察ロードの基本は「最小限の手札使用で済ます」ことである。こちらからどんどん攻めていくタイプのデッキではなく、相手の攻撃を上手く受け流して反撃するタイプのデッキである。反撃をするためにはもちろん手札が必要になる。だから手札はなるべく温存する戦い方になるのである。
初手に来て欲しいモンスターは偵察者と△亀である。どちらのモンもデッキからの特殊召喚効果を持つ。デッキからモンを呼んでくることができれば手札からモンを召喚する必要がなくなるわけで、これは手札の温存に非常に効果がある。初手としては偵察者か△亀を裏守備表示で出すだけでよい。このとき、伏せカードは勅命以外必要ない。必要ないカードまで伏せては反撃する時に困る。△亀は相手の攻撃力の高いモンスターに特攻→ロード特殊召喚という柔軟性を持っているので、偵察者と△亀が両方初手に来た場合は偵察者を伏せるようにする。
初手では伏せカードは極力伏せない。そうなると、抹殺が飛んでくるのは必然といえる。偵察者はリバース効果を持っているので、抹殺されると非常に厳しい、のは純墓守デッキであって、偵察ロードは偵察者に抹殺を喰らってもそれほど痛くない。純墓守デッキは偵察者が守備の要であるのに対し、偵察ロードにはもう一つの柱といえる△亀がいる。大黒柱が2本立っている偵察ロードは、考えようによってはスタンより安定性が高いといえるのではないだろうか。
伏せカードがない状況は相手の攻撃を誘発する効果を持つ。相手に殴ってもらいたい偵察者、戦闘破壊してもらいたい△亀と一緒にミラフォを伏せるのは無意味といってもいいかもしれない。
相手が偵察者を殴ってくれればこっちのもの。偵察者を守備表示で特殊召喚し、万全の体制を整えることができる。この状態になったら、こちらはしばらく手札を使わなくても大丈夫である。壁が存在している限り、ダイレクトアタックは喰らわないからだ。
偵察者が2体並んでからは、ロードの生け贄召喚、△亀の特攻からロード特殊召喚を狙っていく。それではこちらから動く必要はない。また、偵察者を常に守備表示にしておけば、ミラフォを喰らってもそれほど痛くない。ロード+偵察者。偵察ロード最高の組み合わせである。常に盾を持っている状態で、ロードによるジャブを連発していけば、相手は相当いやがるであろう。
相手が全体除去等を使い攻撃を仕掛けてきたら、今度はこちらが貯めておいたカードを一気に使って反撃する番である。生者の書まで使えれば、6000程度のダメージは与えられると思う。相手が攻めてきたあとにカウンターを決める。これが偵察ロードの基本である。
偵察ロードは基本形がかなり決まってしまった感じがある。アンデットと偵察者でスロットをたくさん食うので、なかなかオリジナリティを出すことが難しい。しかし、まだ未開発の分野がある。サイドデッキである。正直私自身もまだまともなサイドデッキを作ったことがない。サイドデッキ次第でデッキはいくらでも変わることができる。偵察ロードがスタンに化けることは容易である。サイドデッキまで練り込まれた偵察ロードが現れた時、どこかの大会で偵察ロードが優勝しているかもしれない・・・